塔の家レポート

狭小住宅の金字塔、東孝光氏設計の塔の家に見学に行くことができました。感激です。
入るなり東利恵さんが迎えてくれました。慌てふためくもなんとか挨拶。
とても優しく迎えていただき、写真撮影も快諾していただきました。
この日は外観だけでもと、それはもう張り切ってデジカメの電池を充電していきました。
当然のオチとして電池を入れ忘れデジカメは沈黙。

そういうわけでモバイルカメラで撮影を敢行しました。当然画像はかなり粗いです…。
外苑近辺がその風景を変える中で40年以上都市に住むというスタイルを貫いた家。時が経ち、個人宅が顔を出しているのは一見する限りこの通りで唯一塔の家のみです。凄すぎる。
改めてぐるりと外を見ると敷地20平米はとんでもなく狭い。最近ちょうど同じ家族構成の設定で住宅課題をしましたが、その住宅が床面積40平米弱でした。それでも部屋の収まりに苦心したのに、そのおよそ半分の土地(しかも建蔽率60%…)に三人家族の生活があるのかと思うと驚嘆します。
家に入ってすぐ2,3階の吹き抜けが

こんな感じです。やはり画像粗…。
大きな開口と玄関が内壁に光を当てるため思いのほか明るい。
思いのほか広いこと以上にこの明るさに驚く。
体をなぞるようにしてできた空間というのが印象で、階段や各階フロア何をとってもすっぽりと無駄なく収まるような感覚がしました。多分身長180cmを超えると頭上が気になる感じですが、177cmの僕はすれすれセーフで階段も普通に上れました。

上下階は薄いスラブで区切られているだけで階段を上り下りするちょうど写真のような見え方が住宅特集の断面図を見るようで不思議な気分です。
何より貴重だったのは子供の頃からこの家で生活してきた東さんの話が聞けたことでしょうか。
壁の仕切り一つなく、姿は見えずとも音は上下筒抜けのこの家で一人の空間は保証されるのか。
お互いの気配や音といった要素から距離を取っていて、くっつき過ぎず離れすぎず、互いが互いのリズムをよく知っているため自然と最適な距離で生活しているそうです。まるで家が家族の感覚を進化させているような話です。
全く閉じきらず、お互い居るか居ないのかが何となく分かるということがミソのよう。
その距離感だと互いが気にならなくなるそうです。床のみが軽く区切る生活空間で3人それぞれのリズムで生きる。壁で区切り横に生きることと明らかに違う状況、これをはっきり「こういうことだ」と言えればいいのですが、正体はつかめず。距離感と言う魔法。縦のパーソナルスペースもあるのか?でも気配はどうも斜めに感じるし。うーん、今後もっと意識してみようと思います。
ちなみに東さん反抗期も無かったそうです。それは東さんが穏やかだったから?と思いつつも説得力はかなり増します。
そういえばこの前、吹き抜けの開いた家に住んでいる後輩と窓越しに玄関が見えて家族の気配を把握できる家に住んでいる後輩が同じように家族間の距離をうまくとれている自覚があると言っていました。(反抗期もなかったと言っていたような言っていなかったような…。)片や建築家が設計した家、片や家族が設計に参加した家だそうで。
これは興味深い。
最後に伝説のオープン風呂について聞いてみました。湯気とか水とか大丈夫なんでしょうか?
空間が大きいため湯気はこもらず拡散し、お湯も壁があるので飛び散る心配もないそうです。音は聞こえますが、それは上記理由より気にならないそうです。なるほど。
というわけでお湯の飛び散らない風呂場の壁の高さ等色んな寸法を見てきました。なるほど。
勉強になります。