建築夜楽校:第二夜

第一夜は行けませんでしたが、話を聞き、ログを追い二日目からスタート!!
それではレポ行きます。
今回のプレゼンターは五十嵐淳氏、家成俊勝氏、井出健一郎氏の三名。まずは五十嵐さんのプレゼンからスタート。
内モンゴルでのプロジェクトORDOS100と美幌の住宅プロポーサルコンペHouse Of Edenの二作を横断しながらプロセスを展開。
五十嵐さんは建てる場所のあらゆる状況(五十嵐さんの言葉を借りれば『状態』)を解いていき、それに対応した建築を設計していきます。
ORDOS(オルドス)のプロジェクトは草原なのか荒野なのか分からないような区画も曖昧な土地に100人の建築家が100戸の住宅を作るプロジェクト。何もないところに世界中の建築家の奇抜な住宅が100戸現れるというイレギュラーな展開。
そんな場所としての固有性がない更地に設計するにあたり状態の読み込みをします。気候条件、周辺環境、調達可能材料、工費、維持方法、現地の建築作業状況、物流、先に立てられた建築の工法、はたまたプロジェクトにおける前例の分析と己の立ち位置までとにかく一つ一つ分析し解を導き設計に反映させます。
以前五十嵐さんは天国のような空間を目指したいと表明していましたが、なるほど、拾えるものは全て拾って状態を読み込みまくる事でリッチな空間を出現させるという意味で正に天国的に丁寧な設計空間と言えるようです。人間の動物的欲求という枠に応える極上空間設計。
このプロジェクトを反映させたのがHouse Of Eden。北海道の美幌が敷地であり、オルドス程ではないにしても快適な気候を享受できる期間が短い土地です。同じようにあらゆる条件を読み解いていく。
その場所の『状態』を読み解く事で固有性を獲得する。それが新しい場所性。場所性=固有性
場所性なき場所に固有性を抽出する手段。
面白いのは五十嵐さんの2作品は建つ場所に全く場所性がなかった事。
元々人が定住しているような場所でさえなくて(HouseOfEdenの方は違うかもしれませんが、ORDOSは間違えなく)、しかし固有性を消失した場所と同じプロセスを踏める。
経緯はどうあれ現在場所性のない場所は同質であって、如何に場所性を取り戻すかというプロセスも同質である。と、思うとこれが今回のモデレータ藤村さんが言っていたプロセスを場所に当てはめてそれぞれの解を出すという話を聞いて、一番明快なプロセスとローカリティの流れを提示しているのは五十嵐さんだと思った。
家成さんのプレゼンはNo.00、ホヅプロ、LatestNo.00の三点からから展開。
dot architectsの三人同時設計を元に図面、設計、施行の各段階での参加人数を整理。後の議論の合意形成を行うルールのキーとなるプレゼン。
No.00において面白かったのが例えばベランダや2階の角など各部をそれぞれ設計更新するという作業。
それをそのまま繰り返して一つの建築上で展開していき、それぞれの最適解状態で止まる。あるいは別の切り取りからまた更新され、それが最終的にあたかもモザイク画のように一つの全体を獲得している。
「部分の集合がそれ以上の状態になる」というdotの目標はこのような形で現れていると思いました。
そのためのルールがあるはずなんだけど、それは今回話を聞いていても理解できませんでした…。反省。
ホヅプロは設計から学生を取り込んだプロジェクトで施行ではさらに人手を増やしている。
LatestNo.00は建築との関係もまばらな22人が合同で進めたプロジェクト。
衝突が起きて設計が止まらないようにいくつかの簡単なルール(例えば他人の作ったものに手を加えてよい、自作に執着しないなど)からオーバードライブした刺激的な模型が誕生する。
設計に参加したのが22人、模型制作=施行に参加したのが25人。施行参加のみの3人の意思がどの程度反映したのか気になります。
またルールの中にもdotが作ったルールと参加者が自主的に作ったルールとがあるようで、合意形成の軸としてdot=建築家が定めたルールはどこまでだったのかが気になります。
最後に井出さんのプレゼンは翻訳家的建築家像というスタンスに基づく面検索的設計プロセスと位置づけ、武雄の週末住宅について語られました。
クライアントイメージからクライアント自体を読み込み本当に要求しているものを掘り出していくという、対話的な展開。
リゾートのバンガローというイメージから本当は何を欲しているのかを綿密なコミュニケーションを通じて読み取り抽出する作業。正にプロセスが生きる展開というわけです。
毎回模型と複数のタグを用意し面的に複数の要素を同時に読み解きながら組み替えていくというプロセスを構築。タグの整理方法も分かりやすく、どこで何を加えて何が捨てられたのか分かるようになっている。
タグは現実的な事のみ端的に扱い曖昧にしない事で誰がみても分かりやすい説明可能なものとなっています。
ただ、展示ではタグの明確さに対して模型が小さくてリンクしづらいと思ったのですが、あれは展示サイズの模型を選んできたからなのでしょうか。気になります。
面白かったのがピロティを設けるという設計側の提案が施主側の決定根拠にまで定着しているという事。
後に古谷さんが分析しますが、対話を繰り返す事で信頼を築いてそれが最終的な施主の判断に至るという分析をしていました。ある意味政治的な合意形成。
僕は営業の合意形成にも似ているなぁなんて思っています。市場における顧客との合意形成過程とかにもコネクトしそう。

まだ書きたいんですけどタイムオーバーなのでとりあえず三者のプレゼンと感想程度でアップします。
続きも更新する…と思います。